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クロッカス ― ひるがの高原で、春、いちばん最初に咲く花は何? (2019年3月26日)

 湿原に自生する植物の中で、最も花期が早いのは、おそらくワタスゲだと思われます。ひるがの高原全体では、湿原植物ではザゼンソウがいちばん早いのではないかと思います。湿原周辺や林の中にも自生するヒメカンアオイの花もかなり早く咲いているようですが、地面すれすれに花をつけるのでいつ咲いたのかよくわからないです。ふきのとうはフキの花ですが、これもかなり早い方だと思います。木の花では、大日ヶ岳山麓に自生するマンサクがいちばん早いです。低木ではネコヤナギも早く花が咲きます。

 ひるがの湿原植物園内に限ると、築山に植えられたセリバオウレンがいちばんです。その次が、昔あった芝生の花壇に植えられ、花壇が撤去された後もしぶとく生き残っているクロッカスです。残念ながら、湿原のワタスゲ、築山のセリバオウレン、芝生のクロッカスは、いつも植物園の開園前に花が終わってしまいます。今回は、あえて、ひるがの高原に自生しないどころか、日本の野生植物ですらないクロッカスを取り上げてみます。

 園芸植物としておなじみのクロッカスはアヤメ科の植物です。クロッカスの仲間(Crocus属)の原産地は、ヨーロッパ南部や地中海沿岸から小アジア(今のトルコ共和国のアナトリア半島地域)だそうです。園芸のクロッカスには、白や紫の花と、黄色の花とがありますが、原種は異なっていて、白や紫系統の花はCrocus vernus(ウェルヌス)、黄色系統の花はCrocus chrysanthus(クリサントゥス)という別の種類だそうです。園内のものは、濃い紫色なのでCrocus vernusだということになります。その原産地の一つ、スイスでの写真を見ると、雪に覆われたスイスアルプスを背に雪解け後すぐに白や紫の花が一面に群生している姿はとても美しいです。

 クロッカスの仲間には、クロッカスのように早春に花が咲く種と、秋に花が咲く種とがあります。秋に花が咲く種として一番有名なのが、Crocus sativaという種つまりサフランです。香辛料のサフランは、この種のめしべを乾燥させたもので、アヤメ科では唯一花が食用になるのがサフランだということです。実は、サフランとクロッカスが同じ仲間だとは、この記事を書いていて初めて知りました。

 花壇の撤去後にはクロッカスもすべて抜いてしまおうとか考えたこともありましたが、年々少しずつ減りながらも開園前に人知れず毎年花を咲かせていますので、このまま残しておいてもよいかなと思っています。以下の写真は、今から18年ほど前、画素数が80万画素(1024×768ピクセル)しかなかったソニー製のデジタルマビカ(MVC-FD91)というデジタルカメラで撮影したもので、記録メディアは3.5インチのフロッピーディスクでした。画像が粗くてわかりにくいですが、今はない庭石の周囲にたくさん花が咲いています。今では、数株になってしまいました。

写真1:クロッカスの花(2001/4/15)

写真2:芝生に咲くクロッカス(2001/4/15)

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岐阜県郡上市高鷲町/高鷲観光協会
TEL 0575-73-2241(開園中)0575-72-5000(冬 季)
開園時間:午前9時~午後4時半
開園期間:4月下旬~10月上旬(定休日無)※変更の場合あり