ヤチダモの花 (2011年5月15日)
あやめ沢湿原には、湿原の手前の林の中に大きな樹が一本生えています。この樹は10年ほど前から気になっていたのですが、目立つ花も実もつけたこともなく、何年も名前が分からず、こんなに大きいのに花が咲かない樹なんてあるのだろうかとずっと不思議に思っていたのでした。ところが、数年前にミズバショウの花が咲いている時期に、まだ葉が全然ついていない枝に黒っぽい塊がついているのを見つけました。しかし、数日たっても花のようなものは見られず、いつの間にか葉が伸びだして、例の黒い塊は無くなっていたのでした。しかし、葉のつき方や冬芽がアオダモの仲間に似ているので図鑑を調べてみると、どうやらヤチダモではないかということになったのでした。翌年、同じ時期に黒い塊を望遠レンズで覗いてみると黒い塊から黄色いふさふさしたものが伸びています。花びらがないのですが、どうやらこれが花のようです。これでは、ミズバショウに見とれていて気がつかないはずです。
そして、実がならないのは、これが雄の樹だったからでした。つまり、ヤチダモは雌雄別株の植物でした。
ヤチダモは、湿地に生えるトネリコ属の落葉高木です。アオダモと同じように野球のバットなどに利用されます。
ひるがの周辺では、この仲間ではマルバアオダモが多く見られます。マルバアオダモは、ヤチダモやミズバショウの花の時期が終わった後に咲き始めます。ヤチダモとは違い、マルバアオダモの白い花は初夏の新緑の中でよく目立ちます。
2011年5月15日 10:16 PM