ハイイヌツゲの看板 (2012年5月10日)
今年から設置したハイイヌツゲの看板です。
ひるがの湿原植物園は、春先は湿原の中のほとんどがハイイヌツゲで覆われており、花はショウジョウバカマが点々とあるぐらいです。その他の時期もハイイヌツゲの中に湿原植物が点在していることが多く、以前は邪魔者として全て刈る方針でした。しかし、刈った場所のミズゴケが枯れたりして、現状の水分条件でむやみにハイイヌツゲを刈ると陽射しで湿原が乾燥し、湿原にとっては、かえってよくない場合があるようです。また、ハイイヌツゲの実は鳥たちのえさになっており、春先のえさの少ない時期にツグミ、ヒヨドリ、キレンジャク、ヒレンジャクなどが実を食べていることが分かっています。それから、ハイイヌツゲやイヌコリヤナギなどの湿原周辺に広がる低木の林はオオジシギやホオアカなど岐阜県内では繁殖地が限られている渡り鳥の繁殖の場にもなっています。また、ハイイヌツゲを大規模に刈るようになってからは、以前園内の池の周囲でよく見られたモリアオガエルの卵がまったくみられなくなってしまいました。ここ数年のひるがの高原の大日ヶ岳山麓側での林の減少などもあり、園内のハイイヌツゲを刈ったためだけではないかもしれませんが、池の周辺近くまで続いていた低木の林がなくなったことが原因だとの指摘もあります。ということで、今はハイイヌツゲは木道の周辺や水路の周辺のみを刈るようにしています。
お客様にも、中に入ったけど何もなかったとかさんざん言われますが、自然に近い状態の湿原ということで、ご理解をお願いいたします。
2012年5月10日 1:11 PM