マルハナバチは、花粉を運ぶハチです。ハチというと怖いイメージですが、いじめたりしなければマルハナバチはスズメバチのように近づいただけで人を襲うことはないと思います。ところが、最近はハチらしきものが飛んでいるだけで大騒ぎする人が多くて(そういう人はハチに擬態したアブでも大騒ぎします)、そんなに騒げばかえって刺されるのではないかと心配になります。スズメバチもアシナガバチも見かけたら騒がずに静かにその場を離れるか、動かずにじっとしていることです。ただし、知らずに巣に近づいたり触れたりたたいたり踏んだりして襲ってきたら全速で逃げましょう(刺されてから気づくことも多いですが)。
マルハナバチは名前は漢字で書けば、たぶん「丸花蜂」です。名前のように、丸っこくてずんぐりした姿で、花によくやってきます。マルハナバチは、花粉を運ぶハチとして重要で、植物の中には、マルハナバチに花粉を運んでもらわないと種子が出来ない、もしくは、出来る種子が少なくなってしまう種類もあります。マルハナバチの仲間は、国内に10種類以上いるということですが、近年減少しつつあり、その原因には、環境の悪化や外来種の影響などいろいろと考えられているようです。
ひるがの高原でも、マルハナバチは、ときおり見かけます。5月中は、種類は分かりませんが、黒っぽくて大きめのハチをよく見かけました。他にも2・3種類はいそうですが、まだ種を見分けられないです。
現在、東北大学や山形大学などの研究チームが、住民参加型での調査を行っています。GPS機能付きの携帯電話で撮影した写真を送ってもらうという方法でデータを集めています。興味のある方は、http://meme.biology.tohoku.ac.jp/bumblebee/をご覧ください。
2013年5月30日 11:54 PM
タグ:マルハナバチ
以前から、夫婦滝周辺のミツバツツジの種類を調べています。ミツバツツジの仲間は、ツツジ属の中でも特に分類が難しく、なかなか種類がはっきりしませんでした。一昨年に、夫婦滝に咲いていたものを望遠レンズで撮影し確認したところ、花柱(かちゅう、めしべ)の下半分に縮れ毛があることが分かり、トウゴクミツバツツジの可能性が高いことが分かっています。同じ特徴のミツバツツジが、お隣の高山市荘川町のあまご谷や六厩の軽岡でも見つかっています。一方、植物園のミズバショウ池のほとりに植えられているミツバツツジは、花柱に毛がないため、特徴から考えてユキグニミツバツツジとしていました。しかし、ユキグニミツバツツジには葉柄(ようへい)に毛がないことになっているのですが、園内のこのミツバツツジには、毛が生えており、この特徴は、トウゴクミツバツツジと同じです。これは、図鑑では分布域になっていないはずのダイセンミツバツツジの特徴と一致します。ダイセンミツバツツジは、鳥取県の大山から名をとられたツツジで、主な分布域は中国・四国地方で、長野県や山梨県(図鑑によっては愛知県)にも分布するとあり、分類上は、ユキグニミツバツツジはダイセンミツバツツジの亜種ということになっています。
昨年までユキグニミツバツツジの自生がひるがの付近で見つかっていなかったのと、葉柄の毛の色が図鑑にあるような褐色ではなく白色だったのでとりあえずユキグニミツバツツジということにしていました。そして、園内のミツバツツジはもしかしたら、ひるがの高原以外から移植してきたものだという可能性も捨てきれませんでした。これが、昨年までの状況です。ところが、今年になって、夫婦滝のトウゴクミツバツツジがほぼ終わりかけた頃に、そこから数百メートル離れた雑木林で、ユキグニミツバツツジと思われるおそらく自生のツツジが見つかりました。これは、図鑑どおりの特徴をもち、花柱にも葉柄にも毛がありませんでした。そういえば、何年か前に夫婦滝付近でも色が微妙に異なる2種のツツジが同時に咲いていたのを見たことがあるのを思い出しました。もしかすると、それは、トウゴクミツバツツジとユキグニミツバツツジだったのかもしれません。トウゴクミツバツツジとユキグニミツバツツジは近縁種で同じコバノミツバツツジ列という分類群に属していて、分布域が重なるところでは、両者の雑種に由来する中間的な種が出てくることも考えられます。
ユキグニミツバツツジ(2011/5/13 ひるがの湿原植物園)
ユキグニミツバツツジの葉(2010/5/27 ひるがの湿原植物園)
葉柄に毛があることが分かる。
トウゴクミツバツツジ(2011/5/16 夫婦滝)
ユキグニミツバツツジ(2013/5/21 ひるがの高原夫婦滝付近の雑木林)
ユキグニミツバツツジ(2013/5/25 ひるがの高原夫婦滝付近の雑木林)
葉柄に毛が無いことが分かる。
2013年5月30日 5:17 PM
タグ:トウゴクミツバツツジ, ユキグニミツバツツジ
ユキザサ属は、ユリ科の多年草でひるがの高原周辺では、大日ヶ岳に3種類が自生しています。
ユキザサ、オオバユキザササ(ヤマトユキザサ)、ヒロハユキザサの3種類です。そのうち、ユキザサとオオバユキザサは、園内に植えられています。園内での花期は例年5月中旬頃から6月上旬頃、ユキザサの方が約1週間早いようです。ただし、今年は5月初旬から中旬にかけての少雨のため、ユキザサはほとんど花が咲きませんでした。今、オオバユキザサがつぼみを付けていますが例年より少ないようです。ユキザサとオオバユキザサは、ともに花の色が白いため、全体の大きさと花の時期とで区別しています。ヒロハユキザサは花が緑色をしているので他の2種との区別はやさしいです。
ユキザサは、北海道では「アズキナ」と呼ばれる山菜ですが、岐阜県では、「アズキナ」といえば、マメ科のナンテンハギのことで、同じく山菜として利用されています。
ユキザサ(2002/5/13 ひるがの湿原植物園)
ユキザサ(2009/5/25 大日ヶ岳)
オオバユキザサ(2008/5/27 ひるがの湿原植物園)
ヒロハユキザサ(2008/6/12 大日ヶ岳前谷登山道)
2013年5月30日 3:57 PM
タグ:オオバユキザサ, ヒロハユキザサ, ユキザサ
ひるがの高原で、5月下旬頃から咲き始める木の花にサワフタギがあります。
ハイノキ科の低木のサワフタギは、漢字で書くと「沢蓋木」の名の通り、沢沿いの湿った場所などに多く生えます。ひるがの高原では、湿原の周囲や水路沿いの低木の林や、湿った雑木林の林縁などに多く見られます。
サワフタギの葉によく付いている毛虫がシロシタホタルガの幼虫です。先日、あやめ沢湿原の木道沿いのサワフタギの葉の上に3匹見つけました。サワフタギの花は、まだつぼみでした。
シロシタホタルガの幼虫(2013/5/26 あやめ沢湿原)
2013年5月30日 10:04 AM
タグ:サワフタギ, シロシタホタルガ