ひるがの高原の水芭蕉
ひるがの高原の水芭蕉の開花時期
ひるがの高原では、水芭蕉は毎年4月上旬頃咲き始めます。4月下旬~5月上旬にかけて、たくさんの水芭蕉の花が見られます。6月のはじめごろまでには花が終わります。実が熟する頃には大きな葉っぱを広げた水芭蕉で覆われ、湿原の様子は一変します。
ひるがの高原の水芭蕉の生育地
ひるがの高原には、国道156号線沿いに湿原が分布し、特にひるがの高原スキー場周辺には、ひるがの高原で一番大きな群生地が残されています。
あやめ沢湿原とその周辺の湿原
ひるがの高原スキー場の周辺には、現在3箇所の湿原があります。これらの湿原は元は1つの湿原だったと考えられますが、明治30年頃に郡道白川街道(今の国道156号線)がひるがの高原を南北に縦断した後大半が埋め立てなどによって消滅し現在のような形になりました。そのうち、ひるがの高原スキー場の南側にあった湿原の約2ヘクタールが昭和45年に岐阜県の天然記念物に指定され(蛭ヶ野高層湿原植物群落A)、1988年に湿原保護の観点からそれまで湿原の中央を通っていた木道を湿原の周辺に付け替えた際に「あやめ沢湿原」と名前がつけられました。3箇所の湿原ともに3月終わりごろにはザゼンソウが咲き始め、4月下旬から5月上旬にかけてたくさんのミズバショウが咲きます。あやめ沢湿原には北側の駐車場から南側の車道まで約150mの木道が整備されています。木道の入口には看板があり、テーブル・ベンチも設置されています。そのすぐ隣には、ひるがの高原で最も大きなコブシの木があります。
南限の水芭蕉
水芭蕉は寒冷地の植物であり、氷河期の生き残りであるとも言われています。分布は、兵庫県、中部地方以北、北海道です。1970年ごろまでひるがの高原(北緯36度00分)が分布の南限であると言われていましたが、今では南限および西限とされているのは兵庫県養父市大矢町加保坂(北緯35度21分)です。ただし、ひるがの高原から兵庫県の自生地の間には水芭蕉の自生地がないため、北の方からの連続した分布域の中では南限に位置するといえます(岐阜県では、高山市荘川町の山中峠が最南限 北緯35度57分)。ひるがの高原に生育する水芭蕉の葉には黒っぽい斑点が見られるものが多いです。
斑入りの葉っぱ(2002年6月3日ひるがの湿原植物園で撮影)